【期間】2023年3月17日(金)から2023年6月4日(日)
【場所】東京都港区六本木6-10-1[地図]
【交通】東京メトロ大江戸線・日比谷線 六本木駅 徒歩6分
【詳細】森美術館HP
【期間】2023年3月17日(金)から2023年6月4日(日)
【場所】東京都港区六本木6-10-1[地図]
【交通】東京メトロ大江戸線・日比谷線 六本木駅 徒歩6分
【詳細】森美術館HP
イギリス出身の建築家のトーマス・へザウィック(Thomas Heatherwick)が主宰するヘザウィック・スタジオの展覧会「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」へ行ってきました。
「建物や空間に職人の魂を込めることはできるのか?」という問いを原点にデザインする。
本展では、ヘザウィック・スタジオの代表的なプロジェクト28件を紹介し、共感をもたらす建築とは何かを探ります。
1994年にロンドンで設立されたヘザウィック・スタジオ。
全てのデザインは、都市空間をヒューマン・スケールに還元し、自然界のエネルギーや建築の記憶を取り込むという信念に基づいています。
その中核は、ハード面のデザインよりも、人々が過ごす空間作りにあります。
場所の歴史や伝統技術に敬意を払いつつ、最新のエンジニアリングを駆使して生み出される空間。
あらゆる物事に対する着眼点の鋭さと斬新なアイデア力に心躍る展覧会でした。
代表作の素材サンプルと6つのセクションを通して、ヘザウィック・スタジオの設計プロセスを紹介します。
【場所】イギリス、ロンドン市
【詳細】Heatherwick Studio:Extrusions
航空宇宙産業部品の機械を用いて一つの金属の塊から成形したベンチ。
アルミニウムの製造工場で、鋳型から材料を押し出す過程で生まれる廃材に着想を得たデザイン。
真っ直ぐに押し出された部分と、歪んだ端部とのコントラストが美しいベンチです。
中国の自動車メーカーの IM Motors と共同開発した自動運転技術を搭載する電気自動車。
全面ガラス張りのボディと、用途に応じてカスタマイズ可能な内装をデザイン。
ディテールや素材にこだわり抜いた、移動中以外の時間も過ごしたくなる車です。
ヘザウィック・スタジオのデザインには、綿密に考案された細部が集合することで、強いな説得力を持つ作品が多くあります。
小さなパーツに宿る魂を集めて、人の心を動かす1つの大きな空間を作り出そうとする姿勢が見られます。
【場所】中国、上海市
【詳細】Heatherwick Studio:UK Pavilio
2010年の上海万博でパビリオン・デザイン部門最優秀賞を受賞したパビリオン。
英国が先駆けてきた公園や庭園の歴史に着目し、王立植物園キューガーデンのミレニアムシードバンクに着想を得たデザイン。
25万個の種子を埋め込んだアクリルの棒が、立方体の周りをしなやかに覆う建築です。
ヘザウィック・スタジオのデザインには、閉鎖的になりがちな空間を開き、隣接する空間と繋げていく作品が多くあります。
自然の光や空気に触れながら、人々が自ずと出会えるような配慮が見られます。
【場所】シンガポール
【詳細】Heatherwick Studio:Learning Hub
1991年に設立したアジアNo.1の工科大学として優秀な人材を輩出する国立大学の新校舎。
1つの箱のような従来の校舎ではなく、それぞれの教室が重なる12個のタワーをデザイン。
学生と教師が自然に集まり、交流する社交の場として再生した建築です。
ヘザウィック・スタジオのデザインには、ヒューマンスケールで作られた彫刻が、そのまま大きくなった作品が多くあります。
三次元の彫刻的な形状だけでなく、素材やテクスチャにも手作業の温もりが見られます。
【場所】アメリカ、ニューヨーク州
開発地区のハドソン・ヤードにある鉄道操車場の上に建設された鉄製のランドマーク。
インドのラージャスターン州にある階段井戸に着想を得て、合計約2,500段・地上16階の構造物をデザイン。
誰もが自由に登ったり探検したりできる、大型の公共アトラクションとなった建築です。
ヘザウィック・スタジオのデザインには、人々が愛し楽しめる空間を設計し、ポジティブな影響が持続する作品が多くあります。
樹木や植物が装飾的な役割に留まることなく、都市空間に自然界のエネルギーや心の豊かさをもたらす心が見られます。
【場所】アメリカ、ニューヨーク州
【詳細】Heatherwick Studio:Little Island
マンハッタン南西の海岸に建設された野外劇場を備える遊歩桟橋。
プランター型の280本の杭を水上に建設し、杭の集合体が公園の地形を作り出すデザイン。
隆起した地形で見晴らしの良さを創出し、ユニークな風景を提供する建築です。
ヘザウィック・スタジオのデザインには、当初の役割を終えた建築の記憶を辿り、未来へ繋げる作品が多くあります。
本来のデザインを活かして大胆な改装をする一方で、昔の状態を修復・復元する取り組みが各所で見られます。
【場所】イギリス、ハンプシャー州
【詳細】Heatherwick Studio:Bombay Sapphire Distillery
ボンベイ・スピリッツ社が製造するジン「ボンベイ・サファイア」の本社兼蒸留所。
ジンの風味を作る植物を栽培する場所として、気候条件が異なる2つの温室をデザイン。
紙幣製造工場として開発された歴史的建造物を改修し、蒸留所を体験できる現代建築へと生まれ変わった建築です。
ヘザウィック・スタジオのデザインには、ヘザウィックの少年時代の体験に通ずる、遊び心に溢れた作品が多くあります。
柔軟で自由な発想の集積が、建築という大きなスケールの各所で見られます。
イタリアの家具メーカーのMagisと共同開発した回転する椅子。
金属を成形する過程に着想を得て、あらゆる方向に揺れて回転する椅子をデザイン。
実寸大模型の製作で実験を繰り返し、座り心地と楽しさを追求した家具です。
トレイラー「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」
トーク「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」
世界建築巡りは、インフォメーションアーキテクトの山田育栄が訪れた世界の建築やプロジェクトなどの情報を紹介するサイトです。
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一人でも多くの人に世界へ足を運んでほしい。
建築に触れると同時に、人との出会いや自己の発見といったかけがえのない機会に遭遇するでしょう。
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