【期間】2022年1月14日(金)から3月13日(日)
【場所】東京都港区赤坂9-7-6[地図]
【交通】都営大江戸線・東京メトロ日比谷線 六本木駅 徒歩5分
【期間】2022年1月14日(金)から3月13日(日)
【場所】東京都港区赤坂9-7-6[地図]
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フランス出身のアンティークディーラーのイヴ・ガストゥ(Yves Gastou)の展覧会「メンズ リング:イヴ・ガストゥ コレクション」へ行ってきました。
古代エジプトのリングから現代アーティストのリングまで約400点のリングを紹介します。
イヴ・ガストゥはアンティークディーラーとして、生地のカルカソンヌやフランス南部のトゥールーズで働いていました。
1986年に、パリのボナパルト通りに自身のギャラリー Galerie Yves Gastou を設立。
1940年代から1970年代に制作されたヨーロッパの家具と共に、1980年代のデザインの作品を並べて取り扱うなど、イヴ・ガストゥの名は広く知られるようになりました。
2018年にパリで開催された「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」で、イヴ・ガストゥのリングコレクションを初公開。
両親の影響で幼少期から培われた美意識、視覚に関する並外れた知性、尽きることのない情熱と行動力。
30年以上にわたり、冒険心を持って根気強く収集を続けてきた成果が形となりました。
制作者の魂や持ち主の人生など、歴史と記憶が宿っているかのようなリングの数々。
美しい物のコレクション欲とジュエリー制作のインスピレーションが高まる展覧会でした。
男性たちは、太古から指輪を身に付けていました。
古代エジプトや古代メソポタミアの指輪は、スカラベやヒエログリフで装飾されていました。
古代ギリシャや古代ローマの指輪は、神話の登場人物や寓話を取り入れることで発展しました。
17世紀後半から18世紀にかけて、啓蒙時代の思想家や好古家は、様々な古代文明に関心を抱き新古典主義とロマン主義の基礎を築きました。
1820年以降、ロマン主義の貴族たちは、自らの教養の総仕上げとして「グランド・ツアー」へ旅立ち、それぞれの旅先で記念品を持ち帰りました。
彼らが身に付けていた指輪は、古い硬貨・インタリオ・カメオなど、新古典主義の美学を反映した装飾が施されていました。
古城や城壁に囲まれて育ったイヴ・ガストゥにとって騎士道は、幼少期から青春期へと連れ戻してくれる存在です。
馬上の戦士たちが紋章を掲げ、指にまで紋章を付けるようになったのは11世紀からです。
これらの指輪には複雑な装飾が施され、印章の役割も果たしていました。
持ち主がどの家系に帰属し、どのような社会的地位を得ているかを示す指輪は、所有者の力を思い起こさせるものでした。
紋章を彫ったシグネットリングは次第にファッショナブルなアイテムとなり、20世紀以降はミュージシャンやマフィアを中心に流行しました。
指輪の多くはシルバー製で、三つ葉模様の帯状装飾、ゴート文字、モンスター、キメラ、棺桶などのモチーフで飾られています。
イヴ・ガストゥは少年時代に、南フランスのカルカソンヌで長蛇の宗教行列に遭遇しました。
司教の美しい指輪を崇め接吻する信者の列に何度も並び、神秘的なオーラを放つ指輪に心奪われました。
司教の指輪は、神聖さを象徴する司教冠、使命を象徴する司教杖、高位聖職者が胸にかける十字架「ペクトラル・クロス」と合わせて、司教職の伝統的なアイテムです。
いずれも司教叙階式の際に授与されるもので、司教と教会の神秘的な結びつきと、司教の神への忠誠を具現化しています。
初期キリスト教の時代は簡素なデザインでしたが、教会が繫栄し富を蓄えるようになるにつれ、美しい宝石で飾られるようになりました。
19世紀になると、フランスの宝飾細工師の技巧により、芸術性の頂点を極める作品が続々と生まれました。
太古の昔から、人は死に魅了されると同時に死を恐れてきました。
死を表す名称は、それぞれの国・宗教・神話・文学により異なりますが、死を表す顔は痩せこけた頭蓋骨と共通しています。
ヴァニタス(空虚)の観念は哀悼の指輪と結びついており、指輪には故人の名前が刻まれたり、遺髪が収められたりします。
第一次世界大戦時は、フランスの兵士が榴散弾の破片で指輪を作りました。
第二次世界大戦後は、退役軍人のバイカーが髑髏のモチーフの指輪を身に付けました。
現在は、洗練された紳士も悪党も同様に、髑髏の指輪を身に付けています。
「多くの人々にとって、好奇心が強いことは、それ以上の何かを意味しない。(好奇心を抱くことに理由など必要ない)」とイヴ・ガストゥは言います。
彼にとって好奇心は、学びへの欲望、発見を望む推進力、美の表現の探求と関係しています。
この探求には限界がなく、1つの領域に縛られるものでもありません。
イヴ・ガストゥのコレクションは、生涯を通じて世界を旅したコレクターの驚異の部屋のようなものです。
旅行記を書く代わりに、それぞれの旅先から何百点もの指輪を持ち帰ってきました。
考古学的な史料となるもの、観光客向けの工芸品、魔除けのお守り、信仰の支えとなるものなど、実に様々です。
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