国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展―挑戦―
展覧会の内容
プロボクサーを経て独学で建築の道を志した異色の経歴で知られる『国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展―挑戦―』へ行ってきました。
創造的挑戦の軌跡を6つのテーマに沿ってスケッチ・ドローイング・模型・写真・映像と共に紹介します。
1969年に都市住宅の設計からスタートした安藤氏の建築家人生。
人間の根源的な営みを受け止める住宅の設計は長年キャリアを積んだ今も難しく感じています。
シックなコンクリート・息を呑む美しい直線・明確な機能を持たない余白といった安藤建築の特徴。
デザインの発想の源となるのは過去に訪れた場所の風景や人との出会いにより身体化された記憶。
特に1965年から1968年にかけて世界中を旅して周ったことが後の建築家人生に大きな影響を与えています。
立地や予算など様々な制約の中でクライアントの要望を汲み取りベストなものを作る建築家の仕事。
キーワードは「あるものを活かして無いものを作る」
知恵と工夫を持ち寄り自分の想像力を最大限に働かせることで素晴らしい建築を生み出してきました。
展覧会の目玉は1989年に大阪府茨木市の住宅地に建てられた「光の教会」のインスタレーション。
装飾的な要素を排除したBOXに十字の切り込みを入れることで貴重な神々しさを感じる不思議な空間です。
「自然には驚きと感動があり、感動は人間が生きるエネルギーになる。」
自然を尊重し最適なバランスで共存できるよう植樹運動を始めとした環境活動も積極的に行っています。
大阪で小さな事務所を開き、設計活動を始めたのは1969年です。
以来半世紀余り、ずっと建築に関わってきました。
その全てに異なる条件と課題があり、それゆえに異なる建築のプロセスがありましたが、1つ変わらないのは、それがいつも私にとって”挑戦”であったということです。
1つの分野で一流の存在として突き抜ける人が何を見て何を考えどう生きてきたのか。
挑戦と失敗を人一倍繰り返し逆境をチャンスに変えるタフで前向きな精神にパワーをもらう展覧会でした。
展示風景
安藤忠雄氏の代表作「光の教会」「直島の一連のプロジェクト」のインスタレーションです。