期間 | 2016年12月17日(土) 13:00から17:15 |
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場所 | 東京都千代田区丸の内2-7-2[地図] |
交通 | JR各種・東京メトロ丸の内線 東京駅 徒歩1分 |
詳細 | 株式会社シェルターHP |
シェルターインターナショナル学生設計競技2016
「シェルターインターナショナル学生設計競技2016」の内容
アイデアコンペの公開最終審査「シェルターインターナショナル学生設計競技2016」へ行ってきました。
「多様な建築」をテーマに規模・立地・用途・プログラムを想定した個性溢れる作品が集結。
藤本壮介・トム へネガン・中田千彦・古谷誠章・大西麻貴・百田有希が審査委員を務めます。
「現代の、そしてこれからの建築の課題は、いかに多様な建築を作り出すか、ということだと思います。
多様な建築とは、その多様さによって、人々の生活や活動がより自由で豊かになったり。
人と人との関係性がさまざまに結びあわされる場所と言えるかもしれません。
僕たちが知っている建築が生み出す多様さを超えた、さらなる多様な建築を作り出すことが可能だろうか?
それはどんな方法で作られ、どんな姿をして、どんな体験をもたらすのか?
とてもぼんやりしていますが、大きな可能性に満ちた領域が広がっています。
規模や立地、用途やプログラムの想定から建築を問い直して、多様な建築を提案してください。」
審査委員長藤本壮介氏からのメッセージ。
応募総数357作品の中から最終審査に残った最終審査5作品と奨励賞2作品のプレゼン。
提案内容に対する思考の浅さや視野の狭さをストレートに指摘される学生たち。
鋭いプロの質問に戸惑いながらも自分たちが思う多様性を懸命に説明。
作者の意図やコンペのテーマとの関連性を正確に読み解こうとする建築家たち。
人それぞれに解釈が異なるがゆえに納得するまで繰り返される熱い議論。
真剣な議論の末に選ばれた上位3作品は海外の学生によるもの。
根拠のある思考の積み上げ方や堂々としたプレゼン力において日本の学生とのレベル差を感じさせます。
「クライアントはもちろん社会を幸せにする建築を作っていってほしい。」
株式会社シェルタ―代表取締役木村一義氏からの温かいエール。
未来の建築界を引率するかもしれない学生たちの挑戦が初心の大切さを気付かせてくれるコンペでした。
「シェルターインターナショナル学生設計競技2016」の会場風景
「シェルターインターナショナル学生設計競技2016」の入賞作品
公開最終審査でプレゼンを行った入賞作品の概要と審査員のコメントをまとめます。
<最優秀賞>Food Scape
【設計】Bertrand Hugo+No ë l Picaper(ENSAS)/フランス
【内容】食物を育てるのに欠かせない水源・田畑・牧場などの機能を都市部の余剰スペースに入れ込む提案。
都市と農村を交えることで食への意識が高まり新たな雇用や投資が生まれ経済の活性化に貢献する。
【評価ポイント】人間が生きるのに欠かせない食物の生産方法や物流過程を広く見直している。
【不足ポイント】舞台となるエリアが広くそれぞれの場所で課題が違ってくることを考えていない。
<優秀賞>Gensis of Archi-Diversity
【設計】 Lam Ho Wang Owen (The Chinese University of Hong Kong)+Kong Pui Sze Jessica (The University of Hong Kong)/香港
【内容】生存環境に応じて様々な形体を持ち進化を遂げてきた生物のような建築の提案。
手足・ヒレ・羽を手に入れた建物たちが地上・地中・水中・空など地球全体で自由に動き回る。
【評価ポイント】気分や目的に合わせて行きたい場所へ動けることで生活スタイルが多様になり夢が広がる。
【不足ポイント】思い付いたものを詰め込み建築の種類を多様にしただけのように見えストーリーが乏しい。
<入賞>HETEROGENEOUS URBANITY
【設計】Bennett Oh+Jinsu Park+Bryan Seunghun Choi(University of Waterloo)/カナダ
【内容】正方形のグリッド内で展開される異質な空間同士を廊下や道路で分断せず直接接続した都市の提案。
目的や興味とは対象外の空間に遭遇することで新しい感情やコミュニケーションを生み出す。
【評価ポイント】自分たちの考えが整理されていてどんな質問に対しても明確に受け答えできる。
【不足ポイント】1つ1つのパース自体は似ていて多様性に乏しくデザイン画にこだわりを感じない。
<入賞>Street Hope
【設計】立石愛理沙(大阪市立大学)/日本
【内容】大阪の中心部を流れる堂島川を抱える中之島を舞台にした新しいコミュニティを創出する提案。
柱で方向性を作りながら積み上げられたストリート上で様々な活動が賑やかに繰り広げられる。
【評価ポイント】スラブのレベル毎に目に入る風景が異なる面白さに溢れている。
【不足ポイント】繋がっていることが魅力である道をわざわざ断片化させる割に考えてるプログラムが弱い。
<入賞>建築を終えた刻
【設計】粟野瑞基+西岡広登(大阪工業大学)/日本
【内容】自然災害・過疎化・老朽化により役目を終えた建築の残し方についての提案。
廃墟と化した建築の屋根・壁・扉・建具を再利用してアートのような建築群を作り出す。
【評価ポイント】日本が抱える空き家問題に着目し保存と風化の間に伝承という第3の選択肢を与える。
【不足ポイント】一旦解体して再構築したいという思いは自己満足としか捉えられない可能性が高い。
<奨励賞>進退の城
【設計】YAN XIAOXUN+ZENG DONGHAO(Southwest Jiaotong University)/中国
【内容】人間の欲求を中心に築かれた都市により居場所を失った動物たちを呼び戻し共存する提案。
鳥の習慣や軌道を分析し鳥の視点で建物や都市を再構築することで全生物が幸せに生きる場を作る。
【評価ポイント】人間以外の命ある動物たちを含めた生態系全体のことを考えた優しさ。
【不足ポイント】鳥にフォーカスした根拠や鳥以外の動物への適用例も知りたい。
<奨励賞>蜃気楼:東方の庭
【設計】Jiang Xu+Ni Zhengpeng(China Central Academic of Fine Art)/中国
【内容】建築設計における原則を無視し論理的思考を一切排除した新しい建築様式を施した中庭の提案。
夢と現実が交錯するかのような唯一無二の空間で伝統的な東洋の美学からの脱却を図る。
【評価ポイント】見る者の想像力をかき立て試すかのような挑戦的アプローチ。
【不足ポイント】作者からの説明がないと捉え所のない絵画やコラージュにしか見えず解釈が難しい。
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