建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"
会期 | 2015年10月16日(金)~ 2016年2月7日(日) |
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会場 | 21_21 DESIGN SIGHT |
住所 | 東京都港区赤坂9-7-6[地図] |
アクセス | 六本木駅 徒歩5分 |
公式サイト | 21_21 DESIGN SIGHT |
展覧会の内容
カナダ生まれのアメリカを代表する建築家『建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”』へ行ってきました。
ゲーリーの思考と創造のプロセスを元に自由な発想の源を探ります。
木製ブロック・ボール紙・薄紙といった3次元のもので徹底的にスタディを行うゲーリー事務所。
膨大な量の模型とスケッチを制作しアイデアを試し・壊し・時に捨てながら形にしていく日々。
そういった手作業に加え表情豊かな建築を作り出すのに欠かせないのがデジタル・テクノロジーの存在。
最先端の設計技術を研究・開発する専門会社ゲーリー・テクノロジーズを設立。
独自のソフトウェアを開発し設計・建設・コスト管理など建築における全工程を見通すことを実現しました。
高度な専門知識をベースに建築・建設業界向けのソリューションサービスも提供しています。
衝撃的で輝かしくも人間的で緻密な職人技のあるゲーリー建築。
建築界のトップを走り続けることができるのは時代の変化とともに自らを進化し続けている姿勢にあります。
輝かしいアイデアを実現させるための工夫と強力な体制作りに感銘を受けた展覧会でした。
展示風景
パリのルイ・ヴィトン財団の模型がお出迎え。
本展覧会のために撮影された代表3作品のプロジェクションが現地の空気感を届けます。
木・紙・粘土・ガラスなどゲーリーのパーソナル・コレクションを集めたユニークな展示室。
ゲーリーの精神とアイデアの本質に迫るマニフェストを読む姿を投影。
アイスホッケー選手時代のユニフォームや思い出の写真などプライベートなグッズも展示。
築60年の2階建て住宅を購入し大きく改造した自邸は心地良くホッとする場所だそう。
6つのプロジェクトにおける90点近くのスケッチ・模型・写真を展示した広い展示室。
建築・人・技術に分けてゲーリーのアイデアの源を探るアイデアグラム。
安価な木材で作られたデスクや本棚に無数の模型が並ぶロサンゼルスのゲーリー事務所のパノラマ。
生きた場所として業務に合わせて刻々と姿を変える事務所内の様子を公開しています。
ニューヨークに建つ超高層マンションとして有名なエイト・スプルース・ストリートのスタディ模型。
Facebook本社で働く2,800人のエンジニアのために設計した壁のないワンフロアーのキャンパス。
まるで本物の建物のように精密に作られた模型写真の数々。
人々がそこにいたいと思える建物を作るべく目線を合わせ内側から考えて設計しています。
メタル・ガラス・レンガなど多様な建材を使用した外壁画像を集めたもの。
ゲーリー建築で使用された魅力的な表情を醸し出す日本製の発色チタン。
段ボールや木版など日常的な素材を用いながらデザインと加工により強度を獲得したゲーリーの家具。
テクノロジーを利用し時間やコストを削減するために考案された独自のスタイルと建設現場の映像も公開。
ゲーリーのシークレットと題されたゲーリー建築の原点と思われる作品たちの展示。
1970年代にゲーリーが撮影したロサンゼルスの工業地帯にある工場・倉庫の写真シリーズ。
ゲーリーの言葉たちが散らばる天井も見逃せません。
ゲーリー建築を撮影した書籍の数々から世界での注目度の高さがうかがえます。
建築家ゲーリーを形成する様々な要素に触れその偉大さと人間性に惹き込まれる時間でした。
フランク・ゲーリー名言集
分かる分かる!と思わず共感してしまうシンプルで歯切れのいいゲーリーの言葉たちを紹介します。
「はっきりさせておこう。
今の時代、世の中で建てられているもの、設計されているものの98%はまったくのクソだ。
デザインに対する感性も人間に対する敬意もない。
ひどい建物、ただそれだけだ。」
「どこに目をやっても、インスピレーションは得られます。」
「ふんわりしたものやきれいなものを求めたりはしない。
そういうものには意欲が削がれる。
現実味がないからね。」
「イライラしてみよう。
それからどうするかを決めよう。」
「私は自己批判的なので、竣工したときはその建物が嫌いでたまらない。
ああすれば良かった、こうすれば良かったとあげつらうので、クライアントも私を持て余すようです。
この状態から抜けるのに数年はかかります。」
「最も大切なのは、自分自身であること、他の誰にもなろうとしないことです。」
「やりたいのは、新しいアイデアを生むことだけ。
たった一人で新しい模型をつくり続けたい。」