期間 | 2015年4月17日(金)から2015年6月13日(土) |
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場所 | 東京都港区南青山1-24-3[地図] |
交通 | 東京メトロ千代田線 乃木坂駅 徒歩1分 |
詳細 | TOTOギャラリー・間HP |
藤本壮介展:未来の未来
「藤本壮介展:未来の未来」の内容
国内外に十数ものプロジェクトを抱える人気建築家「藤本壮介展:未来の未来」へ行ってきました。
過去の代表作や現在進行中のプロジェクトから100あまりの模型が展示されます。
まず面白いのが模型素材の多様性と1つ1つの模型に貼られた藤本氏のコメント。
試行錯誤を重ねる建築家の様子をリアルに感じ取ることができます。
個人的に好きなのがサーペンタイン・パビリオンと中東のプロジェクト。
同一の規則性を持つグリッドを積み重ねた姿に美しさを感じます。
そして是非実現してほしいのがハードウェアの姿をした建築。
日本が誇るエレクトロニクス産業のアイコンとしても活躍しそうです。
藤本氏が大切にしているのは可能性と予感の種を蒔いていくこと。
そうした無数の断片が蓄積し具体的な建築のインスピレーションを生み出します。
自分の見方次第で未来に向けた建築のヒントはどこにでも存在することを知った展示会でした。
「藤本壮介展:未来の未来」の展示風景
照度の低い3階の会場にポツリポツリと不規則に配置された模型たち。
真鍮の線材をひたすら切って張り合わせたサーペンタイン・パビリオン最初のプレゼン模型。
雲に座る願望を白いステンレスメッシュで実現した直島パビリオン。
交通・都市広場・商業・文化施設が螺旋状に展開するセルビアのコンペで選ばれた都市施設。
ランドスケープの増築をコンセプトにドイツで提案した美術館の増築。
無数のグリッドとアーチが連なる空間で都市的なスケールが展開する中東のプロジェクト。
高さだけを競うのではなく複数の塔を集めることで新しい塔を提案。
藤本氏にとって建築の原点は自然であり原型は森。
一見ゴミとしか思えない偶然の産物すら新しいアイデアに繋がります。
その日の天候により印象が変わって見える中庭の会場。
外部と建築の相互作用で境界線が曖昧となる横浜のhouse OM。
その土地の地形と一体となり多様な住環境を作り出す計画中の住宅。
環境に優しいだけじゃない愛らしいビジュアルの建築。
これからの建築と都市の在り方を自由に模索。
子供がおもちゃのブロックで遊ぶようにワクワクしながら創造する大切さ。
ただの物体でも自分の見方次第で立派な建築となります。
次の時代に向けた建築の未来像をシンメトリーに配置した4階の会場。
壁面のパネルには藤本氏の代表作が並びます。
拡大された写真は現場にいるかのような臨場感を与えます。
軽やかなのにインパクトのあるメッシュ構造の建築。
空気のようにふんわりとした優しい建築。
そのままの姿がカッコイイハードウェアの建築。
「architecture is everywhere」建築はどこからでも生まれてくる。
「藤本壮介展:未来の未来」の講演会
【日程】2015年4月28日(火)
【タイトル】未来の未来
【講演者】藤本壮介
藤本壮介氏の講演会に参加しました。
今回の展覧会や建築への取り組みについての話を簡単にまとめます。
展覧会の楽しみ方
実際のプロジェクトはもちろん設計プロセスの過程で制作した模型まで幅広く展示している。
決まった順路は無いため森の中を彷徨うように自由に見てほしい。
1つの模型をじっくり見てもいいし複数の模型同士の関係性を考えることも面白い。
自分の焦点の合わせ方次第で無数のストーリーが生まれ建築そのものの理解につながる。
例えば個人的にはゴシック建築が好き。
何百年もかけて造られた支離滅裂で複雑な建築。
こういった建築を見る時は自分自身のレイヤーを沢山持ち合わせていないと多くの発見に気付けない。
「これはこうです。」と言い切ることができない具体と抽象の曖昧さこそ豊かだと感じる。
それぞれの模型をアルファベットや言語のように組み合わせて楽しんでもらいたい。
こだわりの作品集「Sou Fujimoto Architecture Works 1995-2015」
20年間の建築家人生で携わった107のプロジェクトをひたすら時系列に並べた作品集
各プロジェクトページの右下に関連するプロジェクト番号を記載した。
107×107といった掛け合わせた数だけプロジェクトが見えてくる。
設計者の思惑を超えて回想されることを期待している。
藤本氏お気に入りのプロジェクト
講演会で語られた藤本氏が特に思い入れのあるプロジェクトを紹介します。
House N
【場所】日本
透明性と不透明性の複雑な混ざり合いを表現した21世紀の名作住宅。
沢山の窓を持つ箱が重なり合って色んな表情が見える。
内部と外部の境界線が分からなくなる面白さが体感できる。
Musashino Art University Museum&Library
【場所】日本
図書館という空間を1本の本棚で構成した建物。
本棚に空いた穴を通して向こう側が見える構造は歩き回る楽しさをもたらす。
ポリカーボネートの複層板でできた天井に本棚や配管が映る様子もお気に入り。
House NA
【場所】日本
東京の街そのものの作られ方を建築化した住宅。
複数の小さな床を立体的に積層することで巣の中にいるような安心感を与える。
部屋の中を動き回りながら自分の心地良い場所を見つけることができる。
Toilet in Nature
【場所】日本
プライベートガーデンを有する公衆トイレ。
パブリックとプライベートの両方を両立する存在としてチャレンジしたもの。
ちょっとした観光地として人気となりトイレとしての活躍が薄れているというエピソードも(笑)
Serpentine Gallery Pavilion
【場所】イギリス
至上5本の指にランクインするプロジェクト。
サーペンタイン側のスタッフと度重なる議論の末に生み出された結晶。
中から360度見回すと視界や透明度が多様に変化し言いようの無い感動が押し寄せる。
L'Arbre Blanc
【場所】フランス
大量に張り出した巨大なバルコニーが特徴の17階建ての集合住宅。
テラスで食事やお酒を楽しむ南フランスの文化に応えるストレートな提案を投げた。
当たり前のことを追求し新しく再定義して生まれた姿に魅力を感じる。
Souk Mirage
【場所】中東
長さ1kmにわたる巨大なショッピングエリアを計画するプロジェクト。
建物を覆う無数の格子が中東の強い日差しを優しく遮る。
ランドマークとしてのタワー部分は熱い空気を上空に逃す排気塔の機能も果たす。
Forest of Music
【場所】ハンガリー
自然の中で演奏するという原始に立ち返り考えた音楽ホールと博物館。
鏡面仕上げの天井に自然が映り込み巧妙にうねった屋根を持つ。
木々の中に存在するため外観が捉えにくく気付いたら音楽堂に辿り着いていたという体験を与えるのが狙い。
「藤本壮介展:未来の未来」の関連動画
世界建築巡りについて
世界建築巡りは、インフォメーションアーキテクトの山田育栄が訪れた世界の建築やプロジェクトなどの情報を紹介するサイトです。
建築学生や建築関係者はもちろん、国内外へ旅行する方などにも見ていただきたいと思っています。
一人でも多くの人に世界へ足を運んでほしい。
建築に触れると同時に、人との出会いや自己の発見といったかけがえのない機会に遭遇するでしょう。
インターネットの発達により世界中の情報を知ることはできますが、実体験に勝るものはありません。
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