フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション
展覧会の内容
『フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション』へ行ってきました。
約50の代表的なプロジェクトを模型・映像・CG・家具・プロダクト・図面・スケッチを通して紹介します。
イギリスの建築家ノーマン・フォスターが率いる建築設計組織フォスター+パートナーズ。
世界45カ国で300のプロジェクトを遂行し輝かしい実績を誇ります。
バックミンスター・フラーから受け継いだ軽量でフレキシブルな構造を探求する建築思想。
エコロジー・サスティナブル・歴史・伝統・地域・国家など様々な課題に応える最先端技術とデザイン。
巨大都市や月面住宅といった空想的プロジェクトの研究から生まれる未来のライフスタイルの提案など。
設立当初から約半世紀経った今も変わることのない建築思想で今と未来に挑戦し続けています。
建築は軽やかさと自然の光の芸術である。
限られた工程とコストの中で最大限の物を作り出す努力。
その結果生まれる洗練された機能美と時代を感じさせない建築デザイン。
人々の生活の未来をデザインするという使命を抱えた建築家への興味・関心が高まる展示会でした。
展示風景
1967年から始まるフォスター+パートナーズが手掛けたプロジェクトの年表。
平均気温別に色付けされた世界地図にフォスター+パートナーズのプロジェクトをマッピングした図。
東京シティビューを背景に飾られた代表的プロジェクトの写真。
世界各地にオフィスを持ち統合的なソリューションを開発するフォスター+パートナーズの紹介。
建築家とエンジニアが他領域の専門家と横断的に協働する革新的な設計手法を執っています。
フォスターの建築思想に影響を与えた20世紀を代表する工学者・思想家バックミンスター・フラーの紹介。
重量・エネルギー・性能の関係性を意識し少ない資源で多くのことを成す重要性をフラーは伝えました。
【イギリス】セインズベリー視覚芸術センター
軽量な皮膜に覆われ自然光で満たされた巨大な空間に全ての作品をまとめた美術館。
【イギリス】ウィルス・フェイバー・デュマス本社ビル
優れたエネルギー効率とコンピュータ技術を用いて地域と共存するフレキシブルなオフィス。
【イギリス】ルノー配送センター
鮮やかな中空の柱とスチール製の梁が支える森林のような大空間の配送施設。
【イギリス】大英博物館グレート・コート
最先端技術が駆使されたガラス屋根の空間に新しい歩行者ルートを生み出した大英博物館の中庭。
【イギリス】スイス・リ本社ビル
自然の光と空気を最大限に採集し環境負荷を最小限に抑えた超高層ドーム。
【フランス】カレ・ダール
建物の半分を地中に埋めることで隣接する古代ローマ時代の寺院との調和に成功したギャラリー。
【フランス】ミヨー橋
透明感のあるデザインで風景への関与を最小限に留めるパリとバルセロナの高原を繋ぐ斜張橋。
【ドイツ】ドイツ連邦議会新議事堂ライヒスターク
戦争と過度の改修により失われたドームを太陽の動きに連動するガラスの日除けで再生した議事堂。
【スイス】チェサ・フトゥーラ
コンピュータ技術と伝統工法を融合し最も古くサスティナブルな建築素材である木材で作られた未来の家。
【月】月面住居
ロボットが3Dプリンターを操縦し月の土壌を用いることで現地での建設を可能にした月面住居。
東京の街を一望するスカイギャラリーを舞台とした贅沢な鑑賞体験。
革新的アイデアと最先端技術を駆使し未来を切り拓くフォスター+パートナーズに相応しい展示でした。
ノーマン・フォスターの名言集
デザインに対する考え方や建築家としての役割を示したフォスターの言葉たちを紹介します。
「デザインは人々の欲求から生まれる、精神的そして物質的に。
空港のスケールからドアハンドルまで、これが常に指針である。」
「我々がデザインするもののすべてが、環境と文化への解答である。」
「最小で最大のことをなすことのすすめが、かつてないほどに今日的な意味を帯びている。
現代建築の核心となる、シェルター、エネルギー、環境というテーマは、
バッキーからの継承を反映している。」
「サスティナブル・デザインとは、最小で最大の効果を得る手法である。
少ないことは豊かなことであるという理論に導かれ、
エネルギー消費の低減、再生不能燃料の最小化、公害の減少を促す
自然制御の建築手法を採用することである。」
「私たちの建築に対する全体的な思考は、
交通網、街路、公共空間といった都市基盤と同様に都市の接着剤として街を繋ぐことである。」