坂茂:プロジェクツ・イン・プログレス
会期 | 2017年4月19日(水)~ 2017年7月16日(日) |
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会場 | TOTOギャラリー・間 |
住所 | 東京都港区南青山1-24-3[地図] |
アクセス | 乃木坂駅 徒歩1分 |
公式サイト | TOTOギャラリー・間 |
展覧会の内容
木という素材を多様なかたちで用いる建築家『坂茂:プロジェクツ・イン・プログレス』へ行ってきました。
最新プロジェクトのプロセスを通して坂氏の設計思想と取り組みを模型や映像と共に紹介します。
耐久性を懸念されがちな木材や紙に独特の建築技術を加えることで丈夫で自由度の高い建材に変える坂氏。
安価で簡単に組み立てられる実用面と美しく斬新なデザイン性が世界中で高く評価されています。
ミース・ファン・デル・ローエの言葉「Less is more:少ないことはより良いこと」が坂氏の座右の銘。
厳しい立地環境や限られたコストなど様々な条件下で創意工夫を凝らすからこそ生み出される最高の建築。
建築家として建物を作るだけでなく建築技術ごと伝授する。
建築のプロとして社会に貢献したいという強い思いと行動力を感じる展覧会でした。
展示風景
2017年春フランスのパリ近郊にオープンする「ラ・セーヌ・ミュジカル」を紹介する3階の展示室。
セーヌ川に浮かぶセガン島を敷地としたマスタープランをジャン・ヌーベルが作成。
六角形の木のグリッドに覆われた玉子型クラシック音楽ホールと多目的ホールを中心した複合音楽施設です。
コンペ用のコンセプト映像やドローンで撮影した建設現場の映像まで。
紙筒で作られた椅子に座り建設現場の映像を鑑賞。
とても紙筒で作られたとは思えない優しい座り心地です。
組み合わせにより多様な音響効果を生み出す内装パネルシステム。
クラシック音楽ホールの表面を覆う玉虫色のモザイクタイルは光の当たり方で色が変わるよう開発。
六角形の木のグリッドを囲う三角形のソーラーパネルは太陽の方向に合わせて移動し効率的に発電します。
災害時に活躍する作品を中心とした中庭。
2016年8月熊本県御船町に作られた「熊本木造仮設住宅」の構造フレームモックアップ。
特別な技術が無くても作れるベニヤ板のボックスは収納家具や遮音性の高い壁として活躍しました。
現在ネパールのファクタシーラで進行中の「ネパール復興プロジェクト」の壁ユニットモックアップ。
震災後に街中に残されたレンガの瓦礫を木枠に貼り付けることで耐震性の高い建材に生まれ変わりました。
2018年7月大分県竹田市に竣工予定の「竹田市クアハウス」の屋根モックアップ。
1ユニットが4本の木材から成るレシプロカル構造の屋根が必要な天井高に合わせて自由自在に起伏します。
木の香りが漂う4階の展示室。
「ネパール復興プロジェクト」の模型。
「竹田市クアハウス」の模型。
「熊本木造仮設住宅」の模型。
現在オーストリアのリート・イム・インクライスで進行中の「ティームセブン新社屋」の木スラブ断面。
ショールームの展示品を日差しから守るため軽量の木スラブを使い大きなキャンチレバーを建設しました。
2018年7月スイスのビール/ビエンヌに竣工予定の「スイス時計会社本社」の模型。
木造のグリッドシェルが覆う有機的な形の屋根は木の加工技術で世界をリードするスイスらしいデザイン。
建設現場の映像。
2017年7月神奈川県藤沢市に竣工予定の「慶応SFC教育研究発表棟」の模型。
学生の手で簡単に施工ができるようペーパーハニカム材を挟んだ木材加工製品が使われています。
2017年7月静岡県富士宮市に竣工予定の「富士山世界遺産センター」の模型。
建物周辺に張り巡らされた水盤に映る逆さ富士の木格子を1枚の絵のように鑑賞することができます。
2018年3月大分県由布市に竣工予定の「由布市ツーリストインフォメーションセンター」の模型。
天井に向かうにつれ四方へ枝分かれする集成材の十字柱が優美なアーチ構造の屋根を形成します。
2018年秋台湾台南市に竣工予定の「台南市美術館」の模型。
台南市のシンボルである鳳凰花をイメージしたフラクタル屋根が強い日差しを優しく遮ります。