㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画

㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画_1
会期 2019年11月22日(金)~ 2020年9月22日(火)
会場 21_21 DESIGN SIGHT
住所 東京都港区赤坂9-7-6[地図
アクセス 六本木駅 徒歩5分
公式サイト 21_21 DESIGN SIGHT

展覧会の内容

1953年に設立された 日本デザインコミッティー に所属する幅広い世代のメンバーたちの原画にフォーカスする展覧会『㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画』へ行ってきました。

デザイン業界や建築業界を代表するメンバーたちの思考プロセスを原画・映像・著書と共に紹介します。

 

日本デザインコミッティーは、良いデザインを社会に広めることを目的に、有志のデザイナーたちが運営する非営利団体です。

プロダクト・インテリア・建築・アート・グラフィックなど、幅広い分野の第一線で活躍する専門家で構成されています。

 

丹下健三・柳宗理・剣持勇・亀倉雄策・岡本太郎・勝見勝をはじめとした15名で創立され、2020年現在は40代から90代の26名が参加しています。

本展覧会を通して管理人が感じた5つの思いを簡単にまとめます。

繋がりの大切さ

日本デザインコミッティーは、分野や世代を超えた交流を通して自らをアップデートし続けられる貴重なコミュニティと言えます。

良いものは良い

「傑作」「ロングセラー」と呼ばれる作品は、誕生から何十年も経過した現在もカッコ良さがあります。

徹底的に考える

良い作品が生まれる背景には、アイデアを原画や試作品に落とし込み試行錯誤する圧倒的な思考量があります。

クリエイターでありたい

自分が生み出すアウトプットは自分の人生そのもの、1つ1つのモノづくりにこだわりを持つ大切さを再認識しました。

沢山の感動体験を

人の心を震わせる作品を生み出し続けるためには、自分の心を震わせる経験を積み知見と感性を磨き続ける必要があります。

所有する喜びを感じるプロダクト、体験する楽しさを感じるインテリアや建築、観る者の感性を揺さぶるアートやグラフィックなど。

納得のいく作品が出来上がるまでのプロセスに、デザイナーぞれぞれの哲学を垣間見る展覧会でした。

日本デザインコミッティーの活動

【1】商品のセレクト

1955年に松屋銀座7階に開設した デザインコレクション では、メンバーの知見と感性により厳選された商品を販売しています。

【2】企画展の開催

1960年代に松屋銀座8階で開始した企画展では、デザインに対する信念を軸にそれぞれの時代を反映した展示を行っています。

【3】ギャラリーの運営

1964年に松屋銀座7階に開設した デザインギャラリー では、国内外のデザインを紹介する展覧会を入場無料で開催しています。

原画が生まれるところ

原研哉・伊藤隆道・鈴木康広・山中俊治、それぞれの創造の現場を撮影した映像作品。 彼らが実際に手を動かし、思考を膨らませるプロセスを垣間見ることができます。

26名のデザイナーたちの原画

ディレクターがオススメする6つのポイントを参考に、デザイナー26名による原画を鑑賞します。

①分野ごとの方法の違いを見る

②デザイナーごとの方法の違いを見る

③筆記用具や道具を見る

④デザインの質の変化を見る

⑤デザイナーの考え方を知る

⑥原画を観察してスケッチしてみる

管理人が気になった7名のデザイナーと作品を紹介します。

プロダクトデザイナー:喜多俊之

日本とイタリアでデザイン活動を開始、家具・家電・ロボット・日用品のプロダクトデザインを手掛ける。

1963年に原型をデザインしたソファの「SARUYAMA」は、1990年にイタリアのMOROSO社によって製品化されました。

照明デザイナー:面出薫

東京藝術大学大学院修士課程を修了、住宅・建築・都市&環境の照明デザインを手掛ける。

2012年に開園したシンガポールの植物園「Gardens by the Bay」では、緑と水が調和するライティングを手掛けました。

建築家:北川原温

詩や音楽をモチーフにした個性的な設計で、民間・公共の建築デザインを手掛ける。

1991年に制作したコンセプトモデルの「Villa Contessa」は、秘められたメッセージを解きたくなるアート作品のようです。

グラフィックデザイナー:原研哉

世界各国を巡り、既存の価値観を更新する展覧会や教育活動を手掛ける。

住まいの新しい常識を発信するイベント「HOUSE VISION 2016」では、各パビリオンの配置を書籍を編集するプロセスで設計していきました。

建築家:隈研吾

東京大学大学院建築学専攻を修了、国内外で多数の建築デザインを手掛ける。

2020年に竣工した山手線・京浜東北線が通る「高輪ゲートウェイ駅」では、大屋根を折る折り紙案をベースに雲案を盛り込むスタディが行われました。

プロダクトデザイナー:柴田文江

武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業、エレクトロニクス商品・日用品・医療機器のプロダクトデザインを手掛ける。

2018年から2019年に制作されたフラワーベースの「SACCO」では、製造可能なガラスの形を3Dプリンタを用いたスタディが行われました。

彫刻家:伊藤隆道

東京藝術大学美術学部工芸科金工を卒業、商業施設・建築・都市・イベントのデザインや造形作品を手掛ける。

「資生堂 汐留オフィス」では、細いスチールを組んだ立方体に光を照射し煌めくオブジェを制作しました。

㊙展ポッドキャスト

デザインを志したきっかけや経緯、仕事への取り組み方など、出展メンバーが語るインタビュー音声。

合計約30時間のインタビューを通して、世代や分野を超えて受け継がれる日本のデザインの普遍性が見えてきます。

㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画_27

作家たちの椅子

日本デザインコミッティーのメンバーが制作した椅子の展示。

人が座るための実用性とデザイナーの考え方が反映された、個性溢れるプロダクトを体感します。

関連動画

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